「○○が苦手です」と言う子に「絶対できるようになるから大丈夫!とりあえずやってみよう」と声をかけると、だいたい
「いや・・・本当に全然できなくて。。」
のような反応が返ってくることが多いです。当たり前のリアクションのように思われますが、実はここに成長のポイントが潜んでいます。
英単語や漢字などがなかなか覚えられない子について、ある程度共通しているのが「インプットばかりでアウトプットできていない」ということです。どういうことでしょうか。
「インプット」とは何かを覚える作業のことです。本を読んだり発音したり、何度も書いたりするのがインプットです。
「アウトプット」とは覚えたものを口で言ったり紙に書いたりする作業です。
つまり暗記系が苦手な子は、見たり書いたりしているばかりで「自分が覚えているかどうか」のテストをしていないのです。
しかし考えてみれば当たり前の話なのですが、よく覚えているものほどアウトプットもしやすく、何もインプットしていなければアウトプットは出来ないのですね。何か苦手な科目をやる際に「知らないから出来ない」としり込みしてしまうのは当然のことですが、ここさえ突破できれば案外簡単に暗記が進むものです。
我々は様々な場面で「できないことはしたくない」と思ってしまいます。これは、出来ないことを周囲に知られる恥ずかしさや、出来ない事実を自分で認めたくないという感情から来る反応です。だから「できない→やらない→さらにできない」というループが生まれていくのですね。
しかし、中にはできないけどとりあえずやってみようとする子がいます。こういう子はもれなく勉強の出来る子になっていくでしょう。分からないけどやってみる、つまりアウトプットへの恐れがない状態になれれば、出来ないことを一つ一つ出来るように変えていけるのです。
アウトプット中心学習のカギとなるのは「失敗」です。インプット作業をしているうちは何も失敗することはありませんが、アウトプットについては「読めなかった」「書けなかった」などの失敗と向き合い続けなければいけません。この「できなかった」を許容して失敗を繰り返しつつ学習を進める子が、結果的に学力を伸ばしていきます。
では、子の周りにいる人は何をしてあげれば良いのでしょうか。やるべきことはシンプルで、「アウトプットのサポートをする」ということです。よく「覚え方が分からない」という質問がありますが、そうではなく覚えたことを外に出すことが大事なのです。(※何十回も何百回も書き取りをさせる指導がありますが、あれはただの罰則であって暗記にはつながりません)
例えば「英単語50個を覚える時」のやり方は、以下の通りです。
1、50個を10×5など「自分の覚えやすい量」に分ける
2、知っている単語はどれか、書いてチェックする(アウトプット)
3、知らない単語だけ、5分ほど発音しながら書いて練習する(インプット)
4、英語を見ないようにして書いて再チェック。まだ覚えられていない単語を確認する(アウトプット)
5、ひとまとまりが一度でも全て書けるようになったら、次のまとまりに取り掛かる
(以上の繰り返し)
こうして覚えたものを、翌日もまた繰り返す、3日後にまた繰り返す、としていく中で覚えた内容が固まっていきます。この中で、1と2を飛ばしてずっと3だけをやっている子がいますが、もれなく暗記が苦手でキライな子です。まさにインプットしかしていませんね。
個人的に「勉強が苦手」という言葉は好きではありません。正しい方法を知らなかったり、それができる環境がないだけで、その改善から変わっていくケースが沢山あります。何かを苦手と思いこむのではなく「できなくてもいいからやってみる」こと、そして「アウトプットを恐れないこと」を意識してみることが大切です。